湧水
彼女は昔と変わらぬまま、そこにいた。
彼女は昔と変わらぬまま、微笑をたたえていた。
彼女の眼差しは、時に宙空を眺め、時に憂う。
時間も空間も意味はない。
ただそこにあること。
ただそばにいること。
彼女のエネルギーはまるで湧水のように溢れ。
彼女の愛情は、湧水のように滞ることがない。
山間の温泉の如く、塩釜の冷泉の如く。
彼女は大地と感応する。
彼女は原始の太陽であり、原始の水の女神だ
命の根源にいたる存在。
彼女は、未来もそこにいる存在。
彼女は、未来でも、私に微笑んでくれるだろうか?
私の中に泉が、溢れいずる。それは彼女であり
また私自身である。
いつか、水は天空へと駆け上がる。
その時、私と彼女は再びひとつになり、
この世界のどこかに一滴の水滴となって生まれいずる。
こうして、長い年月彼女と私は、生まれ…離れ…
そうして、また源へと還るのだろう。
(my)